「一ヶ月もの出張……ご苦労だった 早速だが来週にでも零号機のテストを行う予定だ」
ゲンドウは司令室にて赤木リツコと相対していた。

「それはかまいませんが……私のアンジェリーナはどうしてます?」
リツコは出張報告書をゲンドウに手渡して言った。

「アンジェリーナ? なんだね それは」
ゲンドウは意味不明の単語に首を捻った。


いつものような感情の読めない表情である故にリツコの鼓動は高まった。

「ま……まさか 預かるなんて言っておきながら忘れてたんじゃ」
リツコの顔に縦線がビシッと入った。

「ああ、ニャキエルの事か 心配するな だいぶ大きくなったぞ」
ゲンドウはニャキエルの事を思い出したのか、少し面相を崩した。

「ニャキエルって何ですか それより私のアンジェリーナはどうしたんですかっ」
猫の事となると普段はゲンドウに面と向かって言葉を言えないリツコも
ゲンドウににじ寄って詰問していた。

会話になっていない……全然意味の通らない言葉の羅列とも言おうか……

数分程二人は凍りついているかのようにその動きを止めていたが、
ゲンドウが手をぽんと鳴らして頷いた。

「猫の事なのだな わかった……連れて来るから待っていたまえ」
そう言ってゲンドウは司令室の出口に向かって歩きだした。

そして、通路に出た時 ゲンドウは呟いた。


ちっ……覚えていたのか



「恋愛小説家・ゲンドウ」

この作品は、映画”恋愛小説家”とエヴァのリミックスFF(ファンフィクション)です。

今週は”リツコ飼い猫に裏切られる”・”あの時の真実”・”静止した画面の前で”の三本をお送りします ンガング


第2話その1「リツコ飼い猫に裏切られる

作 尾崎貞夫


数分後 ゲンドウは小猫(もう大きくなったが)のニャキエルを抱き、
トイレ用の砂箱を手に司令室に現れた。

「預かった時より125g分成長している 予定通りだ……」
どうやら猫の本を読み漁って勉強をしていたようだ……
本屋の主人の驚いた顔を見てみたいものだ。

名残惜しげにゲンドウはニャキエルを床の上に降ろした。

「確かに……血色もいいみたいだし、管理して下さってたんですね」
ニャキエル……いやアンジェリーナ(?)の様子を見てリツコは安堵していた。


「おいで! アンジェリーナ」
リツコはしゃがみこんでアンジェリーナに呼びかけた。

……………………………………………………

……………………………………………………

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……………………………………………………

だが、アンジェリーナ(?)はその名を呼ばれてもリツコの方を見向きもしなかった。

「どうしたの? アンジェリーナ 私よ おいでっ」
リツコは再三呼びかけたが、当の猫はしらんぷりを決め込んでいた。


「ニャキエル……」 ゲンドウがぽつりと漏らしたその声を聞きつけたのか、
アンジェリーナ……いや、ニャキエル(?)はゲンドウの元に駆け寄った。

「こら……ニャキエル おまえの御主人様が帰って来たのだぞ……」
しゃがんだゲンドウの膝に頭を擦り付けて来るニャキエルをゲンドウは
壊れ物でも扱うかのように両手でそっと抱き上げた。

その時のゲンドウの表情はリツコが未だ見た事の無いものであった。
リツコはゲンドウに抱いていた嫌悪感を少し減らす事になったが、
それが愛に至るまでには24万8千光年程の年月が必要になるだろう(謎)

そしてゲンドウは抱いたニャキエルをリツコに手渡した。

最初はリツコの手の中で居心地悪そうにしていたニャキエルではあったが、
リツコの事を思い出したのか、やがて心地よさそうにリツコの胸に頭を押しつけていた。

その時、ゲンドウが心の中で”今度は二ヶ月程出張させようか”などと考えて
いなければいい話であったのだが、所詮ゲンドウはゲンドウ ヒゲはヒゲである(謎)


後日嘆(誤字では無い この字の方が……会ってる(笑))

無事(?)リツコの元に帰って来た猫ではあったが、
アンジェリーナと言うリツコが付けた名を呼んでも振り向く事は無く、
渋々ゲンドウ命名のニャキエルと言う名を使う事になったそうである。 南無ぅ〜



第2話その2「あの時の真実

リツコの猫騒動も治まり二ヶ月程経ち、第三の使徒 サキエルが襲来し、
シンジ・レイのチルドレン二人体勢がようやく馴染みかけた頃に事件(?)は始まった。

NERV地下ケージ……

二体の巨人が並びたつ地下ケージにゲンドウは降り立った.

ゲンドウの巡回をさも嫌そうにしながらも敬礼する作業員を無視して通りすぎ、
ゲンドウは誰かの姿を探していた。

シンジ? いや、10年程放っておいた息子の様子を見にくるような殊勝さは無かった。
合わせる顔が無いと言うのが真実であった……

「ユイ……おまえさえいてくれたら…………おまえがシンジの世話をしてくれたなら……」
ゲンドウはユイが消え、4才のシンジを一人で育てようとしていた時の事を思い出した。

ユイ似のシンジが可愛く無い訳では無かったのだが、〆切前だろうがシンジの世話を
しないといけない多忙さに、シンジが物心付くまでと弟に預けたものの、
シンジを預けて数年後に大ヒットを連発しはじめ、ますます忙しくなった為、
今の今までシンジを引き取る事を忘れていたのである……顔を合わせられる訳も無い訳だ。

シンジがこの第三新東京市に来る事になった時、同居しようと思ってはいたものの、
丁度前金を大目に貰っていた書き下ろしの〆切が重なりシンジが心閉ざして一人で住む
と言い出したのをこれ幸いと思ってしまったのであった。

「葛城君がシンジを世話してくれるのはいいが、まるでお手伝いさんのように酷使してる
そうでは無いか……ふむ それなら私の世話をして貰えれば執筆に集中出来るな……」
キャットウオークを歩きながらゲンドウは一人ごちていた。

読んでる人の大半が、”こらこらおっさん”と思った事であろう。

「レイ……」 零号機の側で調整をしているレイの姿を認めたゲンドウは、
いそいそとレイのいる零号機の処まで歩いていった。

「シンジはいないようだな……」ゲンドウは周りを見渡し、誰もいない事を確認した。
初号機のエントリープラグの中にシンジが入っていて、レイをモニターしているとも知らずに……

「レイ」 ゲンドウは作業をしているレイに話しかけた。

レイが少し笑みを浮かべ、目をキラキラさせて近寄って来るのを見てゲンドウは嬉しかった。

「レイ 新作を部屋に送らせておいたが……その……読んで貰えたかね」
そう……実はゲンドウは年ごろ(?)なレイを自分の小説のモニターとして使っていたのだ。

「司令……主人公の描写が斬新でとても面白かったです。 前作に出ていた主人公の子供が
主人公なのには驚きました。」 レイはゲンドウの役に立てるのが嬉しいのか、
瞳をキラキラさせながら感想を述べていた。

ほんの数分ではあったが二人とも笑みを絶やす事は無かった。
冬月もゲンドウの裏(?)の仕事を知ってはいたが作品を読ませるのは恥ずかしいらしく
知り合いでゲンドウが水桜由紀だと知っていて水桜由紀の名で発表された本を読んでいる
のはレイだけであったのだ。

「参考になったよ また頼む」 ゲンドウは満足気な笑みを浮かべてレイの肩を叩いた。

用は済んだとばかりにゲンドウは初号機など見向きもせずにケージを立ち去った。



そして数日後……

「碇……シンジ君が家出したそうだが、何か原因は掴めないかね」
冬月が決済しなければいけない書類をゲンドウの机の上に置きながら言った。

「家出? 葛城三佐が酷使したせいじゃ無いのかね……減棒だな」
ゲンドウはまさか原因が自分にあるとも知らずに呟いた。

あんたのせいだっちゅーの(死語)


第2話その3「静止した画面の前で

「ふふん 恋愛小説家は気楽な商売と来たもんだっ」
〆切は今夜11時……現在時刻は9時半……残りはほんの数ページ……もうすぐ終わるので
ゲンドウは鼻歌まじりにキーを叩いていた。

「さて、そろそろ保存しておくか……」 ゲンドウは痛む右肩を上げ下げしながら呟いた。
保存を開始し、記憶装置(ネットワーク上のHDD)に記録を開始したその時、
点滅し保存中を示すランプの動きがぴたりと止まった……

「まさか……」
ゲンドウが青ざめたのと同時に部屋の照明も消え、
ノートパソコンの画面のみが部屋を照らしていた。

「停電だと? ありえん事だが……正副二回線共に落ちたと言うのか
保存が失敗した今、リジュームが切れたらこの作品は……」
ゲンドウはバッテリーを確認した。 コンセントが刺さっていなかった為、
あと10分も持ちそうに無かった。

「書きおえるのに30分はいる……いかんっそれよりMAGIがっ」
ゲンドウはノートパソコンを手にして司令所に向かって走った。
ゲンドウの部屋から司令所へのルートは別電源にしておいた為、
ゲンドウは無事司令所に辿りついた。

ゲンドウはリツコと状況を確認しあい、そして指示を下した。
「残りの電源はMAGIの維持に回せっ」

司令所は喧騒に包まれていた。
「副司令……処で司令はどこにいかれたんです?」 ゲンドウの姿が無いのに気づき、
リツコが冬月に問いかけた。

「さあな……恐らくMAGIの様子でも見に行ったのであろう」
冬月は意味有りそうな笑みを浮かべて言った。
そう ゲンドウがノートパソコンを脇に挟んでいるのを目撃して察したのであろう。

その時、ゲンドウは階下にあるMAGIの中に潜り込み、リツコの母親の脳のコピーの前で
MAGIに回された電力をちょろまかして ノートパソコンのキーを叩きつづけていた。

その行為は使徒襲来を知るまで続いたと言う……




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どうもありがとうございました!


第2話 終わり

第3話「理解されざる者(予定)」 に続く!


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