南の島は絶対レイ度!?



ポーーーーー

みゃぁ みゃぁ みゃぁ

汽笛が鳴り、海鳥が頭上を旋回するのを、シンジは顔の上に本を置いたまま感じた。

シンジ達チルドレンは、半壊した第三新東京市を離れ、アメリカはネバダに向かっていた。

「シンジ! また寝てんの? 目が腐るわよ」
紅い水着を着た、セカンドチルドレン惣流アスカラングレーがシンジが寝そべっている、ベンチの前まで歩いて来た。

「ほーらぁ」アスカは反応しないシンジの顔の上の本を取り上げた。

「眩しい・・」シンジはようやく目を覚ました。

「いつまでも寝てないで!ほら!」アスカはシンジの手を取り、シンジを立たせた。

「わかったよ・・アスカ」僕はアスカの後をついて、プールに向かった。

シンジ達が乗っているのは、豪華客船とは言えないかもしれないが、甲板にプールもあり、長い船旅にも十分耐えられるようになっていた。

「ほら レイ!あんたもいつまでも背中焼いてないで、泳ぎましょ」
レイはセパレートタイプのビキニの紺色の水着を着ていて、胸の部分は紐を解いて背中を焼いていた。

レイは水着の紐を縛って、起き上がり、水に漬かった。

シンジも水の中に入っていた。

「ほら、三人で2往復の100mで競争しましょう!」
「駄目だよ・・僕カナヅチなんだ・・」
「情けないわねぇ男のくせに!」
「しょうがないだろ 人間は浮くようには出来て無いんだ」
「欺瞞ね」
「あんた水が恐いんでしょ」
「そ、そうだけど・・」

「レイ・・ちょっと来て」アスカは綾波を呼び寄せ何か小言でしゃべった。

「それじゃ、今からあんたが水に恐く無くなるように特訓するわよ!」
「ええぇ いいよ・・」
「駄目よ!アメリカに着くまで何日あると思ってるのよ!いい機会でしょ!」アスカは一気にまくしたてた。

「わかったよ・・でもどうするの?」

「三人一緒に並んで顔に水漬けるのよ・・
それで一番早く顔を上げた者が一番我慢した人の命令を聞くの」

「えぇ〜どんな命令なんだよ」
「常識の範囲内なら何でもいいのよ」

「わかった? シンジ レイ」
レイは黙ってうなづいた。

「わかったよ・・やるよ」

「いいわね せーの」

ちゃぷん・・

シンジは両手をアスカとレイに取られ、逃げられないようにされた状態で顔をつけた。

・・・・もうかなりたったのにな・・

アスカとレイは顔を上げようとはしなかった。

・・まだかな・・

・・・苦しくなって来たし・・・

・・・・顔を上げたら楽になるんだ・・・・

約55秒後

ブハァ

シンジは首をひねって顔を水面上に出した。

だが、アスカも綾波も顔をつけたままだった。

数秒してアスカも顔を出した。

「・・・負けた・」アスカはかなり悔しそうな顔をしていた。

約1分20秒後

「それにしてもレイ・・すごいわね・・」

「もう綾波の勝ちだよ・・」シンジは声をかけた。

「も、もしかして!」アスカは綾波の顔を掴んで上に上げさせた。

「シンジ! 水飲んじゃってるわ・・LCLとは違うってのに・・」

シンジとアスカは気を失ったレイをプールから引きずり出した。

「ほら・・水吐かせなさいよ」

「あ、うん・・」シンジは横たわったレイの下腹部に手をやり、何度も押した。

5回ほど押した時に、綾波の口から水が漏れた。

「駄目よ・・水は出たけど・・人口呼吸しなきゃ・・シンジ!早くしなさいよ!」

「何で僕が・・・」
「早く!」

「わかったよ・・」
シンジはレイの頭元に移動して、横たわったレイの唇に息を吹き込んだ。

「あんたバカぁ? 口閉じさせてたら、ただのキスでしょうが!」

「そ、そっか・・」シンジは指を使って綾波の唇を開かせて、口を付けて息を吹き込んだ。


「私!お医者さん呼んで来るね!」アスカは船内に走って行った。
(見てらんないわよ・・バカシンジ)


数度吹き込んでいると、ようやく綾波が自分の意識で咳をしはじめ、ようやく、目を開けた。

「大丈夫かい?綾波・・」
「碇君・・」
シンジは綾波が死ぬんじゃないかと必死だったので、涙を目一杯溜めていた。

「何故泣いてるの?」レイが不思議そうにシンジを見る。
「綾波が無事だったからじゃないか・・」
「ごめんなさい・・こういう時・・どういう顔すればいいかわからないの・・」
「笑えば・・いいと思うよ・・」

レイは前に見た、シンジの笑顔を真似て微笑んだ。

「不思議ね・・前にもこんな風に碇君と笑った事があるような気がするの・」
レイは微笑みを浮かべたまま、シンジの顔を見つめた。

「綾波ぃ!」シンジは感極まってレイを抱きしめた。

「碇君・・暖かい」

「綾波・・」

「何やってんのよ!バカシンジ!」

背後からアスカの声が響いた。

シンジは慌てて密着していた綾波の身体から離れた。

「何でも無いんだよ・・」

シンジは立ち上がった。

「まぁ無事だったんならいいわ・・」アスカは船医に何か言って引き取らせた。

「それじゃ罰ゲームしないとね・・約束だし・・」

「ほら、レイ! シンジに何して欲しいのよ」
「私いい・・背中焼くから・・」

綾波は水着の胸の部分の紐を外して、ベンチの上にうつ伏せになった。

「あんた・・肌白いんだから、あんまり焼くと肌に悪いわよ」
「そうなの?」
「そうよ・・」

「ほら!シンジ!オイルでも塗ってあげなさいよ」
アスカがバッグからサンオイルを取り出して、シンジに放った。

「ぼ、僕が塗るのぉ?」
「あんたバカぁ背中に自分で塗れる訳無いじゃん
それにこれは罰ゲームよ!」アスカがシンジを指差した。
(私が塗って貰おうと思ってたのに・・バカ・・バカ)

「綾波・・サンオイルだって」

「じゃ、塗るよ」
シンジはレイの背中に半透明のサンオイルを手に付け、塗っていった。

「オイルを塗るとどうなるの?碇君」
「極端に焼きすぎると肌がいたむんだよ・・だからこれを塗るんだよ」

「そうなの?じゃ、こっちも塗って・・」綾波はうつ伏せの状態から身体を捻って、仰向けになった。

「あの・・その・・綾波・・」シンジは真っ赤になって口ごもった。

「どうかしたの?」

「その・・胸が・・」

「構わないわ・・塗らないと身体に悪いんでしょ」

シンジは助けを求めてアスカを視線で追ったが、姿は見えなかった。

「わ、わかったよ・・」
シンジはサンオイルを手につけて、胸以外の所から塗りはじめた。

そして、最後にもう一度手にオイルをつけて、綾波の胸に塗っていった。
(いいのかな・・)

シンジは半年前の出来事を思い出してしまい、赤面してしまった。

「碇君・・」
「なに?」
「気持ちいい・・もっと塗って・・」レイが頬を染めて言った。

「もっとって・・」シンジは手にサンオイルを付けて、レイの腕にも塗っていった。

「そこじゃないの・・」レイは少し顔をそらして言った。

「・・・じゃ・・」シンジは足にも塗っていった。

「そこでもないの・・」シンジは手にオイルをつけたまま、硬直していた。

「ここに塗って欲しいの・・」レイはシンジの手を胸にいざなった。

「わ、わかったよ」シンジは覚悟を決めて、もう一度、レイの胸に塗っていった。

「何だろ・・これ・・盛り上がってきてる・」シンジの目は一部分を凝視していた。

「もういいよね・・」シンジはそう言って綾波に言ってから、振り向いて、プールに向かって走っていった。

バッシャーン

シンジはプールから顔を出して、ため息をついた。

「・・・膨張しちゃった・・恥ずかしい・・」


数分後

「シンジぃ レイ!お昼よぉ」アスカがトレイを持って、テーブルの上に置いた。

レイは起き上がって、テーブルの方に歩いて行った。

「レイ!水着取れてるわよ・・」
「いい・・焼きたいの・・」だがレイはそのまま椅子に座った。
「焼きたいのったって、シンジもいるのよ・・恥ずかしいでしょ」
「いい・・」
「何がいいのよ」
「さっきオイルも塗ってもらったもの・・恥ずかしく無い」
「何ですってぇ?あんた背中だけで飽き足らず、胸まで塗らせたの?」
「塗らないと身体に悪いんでしょ・・」
「あんたってホント恥じ知らずな女ねぇ」
「そんな事無いわ・・碇君以外なら、塗らせないもの・・」

「くっ」アスカは手にしていたホットドッグを握り締めてしまった。

「後5日間も一緒にいるのよ!規律を乱すような事はしないでよ!ほら水着着て来なさい」アスカはレイに諭した。」

「わかった・・」レイは立ち上がり、ベンチの上から水着をとって胸に巻いた。

「シンジ・・怒らないから、早く出てらっしゃい・・」
アスカは大声で、プールにいるシンジを呼んだ。

「ホントに怒らない?」シンジはプールの端まで寄ってきた。

「怒らないから上がって来なさい」アスカはプールサイドまで歩いて来て言った。

「うん・・」シンジはプールサイドの枠に手をかけて、プールから出た。

どんっ!

立ち上がった所を、アスカが両手でプールの中に突き飛ばした。

バッシャーーン

シンジはもがいて、ようやく足を付ける事が出来た。

「酷いよアスカ! 怒らないって言ったじゃないか!」シンジはプールの中から叫んだ。

「怒らないとは言ったけど、罰を与えないとは言って無いわよ」

「ちぇっ・・」シンジは枠に手をかけて、プールから上がろうとした。

「シッシンジ・・・」アスカの声は震えていた。

「キャーーー!」アスカは再びシンジをプールに突き飛ばした。

シンジはもがいて、ようやく立ち上がる事が出来た。

「何するんだよ!アスカ!」

「パンツはきなさいよ! パンツ!」アスカは顔を真っ赤にして叫んだ。

「え?」シンジは手を当てた。

「ぬ、脱げてる・・」シンジは顔を真っ赤にして、必死でプール内を探しはじめた。

「まったくなんてモノ見せるのよ・・」

数分後

シンジ達は昼食を取っていた。

「しっかし、なんでわざわざ船で行かせるのかしらねぇ・」
「父さんが言うには、飛行機だとテロの危険があるからとか言ってたけど」
「ま、こうして夏休みをエンジョイ出来るんだからいいか・・あんたなんかじゃ無く、加持さんだったら・・ああ・・」
アスカは夢の世界に入って行った。

「どう?綾波・・楽しい?」
「海・・初めてだから・・」
「そっか・・よかったね」
「海以外で行ってみたい所ある?」
「碇君と一緒なら・・どこでも・・」
「何か言った?」
「・・何でも無いわ・・碇君はどこに行きたいの?」
「僕は、のどかで静かな、南の島がいいな
で、日がな一日本を読んだりして、すごしてみたいな」
「私も行ってみたいな・・」
「いつか、行けたらいいね」
「碇君・・」

三人とも、甘い夢に浸っている、その時!

ゴーー

西の空から飛行機が二機、シンジ達に向かって飛んで来た。

「旅客機かな?」
「それなら、もっと大きいわよ・・」
「じゃ何だろう」
「あのフォルムは見た事あるわね・・」
「どこで?」
「日本に来る時、空母に乗って来たでしょ・・あの時に・・」

「って事は・・戦闘機?」
僕たちは接近してくる二機のF16−2戦闘機を見つめた。

「何か落としたわよ・・」
「何かって・・まさか・・」
「あれも見覚えあるわよ・・」
「僕もだ・・」
「N2爆弾?!」

僕とアスカは立ち上がって、綾波を連れて、反対側の側面に走った

「いいわね・・飛び込むわよ!」
アスカは救命胴衣をシンジとレイに渡して、装着する暇を待たずに三人は助走を付けて、一気に柵を飛び越えた。

バッシャーン

ぼこぼこぼこぼこ

シンジ達はかなり上から飛び込んだので、かなり深く身体が沈んでいた。

次の瞬間!

ドゥウウウウウン

強力な水中衝撃波が来て、三人は別れ別れになってしまった。

シンジは手に掴んだ救命胴衣を必死に掴んでいた。

救命胴衣の浮力でようやく海面に出た時には、シンジ達の乗っていた船は、跡形も無く蒸発したかのように、姿を消していた。

そして大きな波にシンジは包まれた。

「くっ・・」

シンジは救命胴衣を掴むのが精いっぱいであった。

何度も塩水を飲み込み、そして吐き出し、体力を消耗していつしかシンジは気を失っていた。




ザザーーン ザーン

シンジは寄せては返す波の音を感じて目を覚ました

シンジは美しい海岸に流されていた。

「こ、ここは・・」水着は脱げていたが、他に誰もいないのでシンジは救命胴衣を手に立ち上がった。

島の中央には、ヤシの生い茂る小高い丘が見えた。
シンジは重い身体を引きずって、島の中央を目指した。

数分後

シンジは島の中央の小高い丘に立っていた。


「孤島だ・・」シンジは半径100M程の、小さい島に流されたのだった。

シンジはその現実に驚愕した。

「そっそんな・・綾波・・アスカ・・無事かな・・」
シンジは疲れもあり、ひざを抱えて座り込んだ。

数分後

「船・・通らないかな・・」シンジは起き上がり、四方の海岸線を見た。

すると、東の海岸に、流木のような物が流されていた。

「何か役立つ物があるかもしれないな・・」
すでに日も暮れかけていたが、シンジは、東の海岸に向かって歩いて行った。

「これは、あの船の残骸だな・・」シンジは流れ着いた物を調べていた。

「何か使えるかもしれない・・筏になるかも・・」シンジはそれらの木材を浜の上に方に引っ張って行った。

シンジが漂流物を探していると、木材の影に、白い肌が見えた。

「ま、まさか!」シンジは急いで漂流物を剥いで行った。

「綾波!」レイは漂流物の木材に掴まったまま、失神していた。

シンジはレイを引っ張り出して、砂浜に降ろした。
シンジは、露になっているレイの胸に耳を付けた。

か細くはなっているが、心音を確かめたシンジはレイに人口呼吸を施した。

だが、水を飲んでいるのでは無く、疲労の為だと知り、シンジはレイを背中に背負って、島の中心部まで、重い足取りで歩いて行った。

シンジは地面に落ちた、ヤシの葉を拾い集め、寝床を作って、レイを寝かせた。

「・・」もう日は暮れ、何も身に付けていない、綾波は寒さに震え始めた。

「このままじゃ・・体温が奪われてしまう・・そうだ・・」

「・・・綾波・・ごめんよ」
シンジは綾波の横に寝て、綾波と身体を密着させた。
シンジも極限まで疲れていた為、綾波を抱きしめたまま、眠りについた。

そして翌朝

「碇君・・碇君」シンジはレイの呼び声で目を覚ました。

「んんっ」目を開けると、心配そうにレイが覗きこんでいた。

「綾波・・気がついたんだね」
「碇君・・よかった・・目を開けてくれて・・」綾波は目に涙を溜めていた。
「僕も綾波が目覚まさなかったし、寒そうだったから、大変だったよ・・?」
シンジは胸に圧力を感じた。

(も、もしかして・・)

「碇君が暖めてくれなかったら・・ありがとう・・碇君」
レイはシンジに抱き着いた。

「ちょっ ちょっと待ってよ・・今二人とも服着て無いんだよ・・」
「知ってるわ・・暖めてくれたんでしょ」

「うん・・そうなんだけど・・」

「内腿に何か当たってる・・」綾波は下を見ようとしたので、シンジは慌てて止めた。

「何でも無いよ・・多分・・はは」

こうして、二人の漂流生活は始りを告げた。


続く


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