マヤ保健医の午後のひととき

第1話 【マ連合・・その実態】

作:尾崎@マナリアン


4時間目が終わり、お昼休みに移行して3分

保健室の前に向かって疾走する影二つ

そして、保健室で立ち止まった二人の美少女の中の、
栗毛の子が声をかけた。


「伊吹せんせーい!」

「今日は私が声をかける番なのよ マナ!」
「ごめんね マユミちゃん・・じゃ明日私の番だけど、譲るから・」
「なら、許してあげる」
「ありがと マユミちゃん」

ガラガラ
扉を開けて現れたのは、保健医の、伊吹マヤ嬢であった。

「マナちゃんに、マユミちゃん いらっしゃい」
「はーい」

二人は、いそいそと保健室に入って行った。


「で、ねぇ先生! マナちゃんたら、シンジ君に声かけられただけで、顔真っ赤にしちゃって」
「あ、マユミちゃん!それ言わない約束じゃないの!」

三人は、お弁当を食べながら、談笑していた。

「あ、忘れる所だった これ、もらい物なんだけど」栗毛の少女”霧島マナ”が、
袋の中から、小さい缶を取り出した。

「あ、これ飲んでみたかったのよ・・駅前のお店で売ってるダージリンティー」

「よかった・」伊吹先生が喜んでくれたので、少し頬を赤らめるマナ

「ずるーい マナったら」黒髪の少女”山岸マユミ”が頬を膨らませる。

この二人の生徒は、以前ダイエットのしすぎで体調を崩して、
保健室で休んでいた時、伊吹マヤ保健医に、いろいろと指導して貰ったのだ。

それ以来、二人は昼休みになると、お弁当持参で駆けつけて来るのであった。

「喧嘩しないの じゃ後で皆で飲みましょうね」

「ハイッ」

この二人の生徒と、伊吹マヤ保健医の三人の名前の最初に”マ”が付く事から、
事情を知る理科の赤木先生が”マ連合”と名づけたのであった。

「んーおいしい」ダージリンティーを一口飲んで、マヤがうっとりとした感じで呟いた。

「ホント?」

「ええ」伊吹保健医は、趣味の紅茶を飲んだ時に見せる恍惚とした表情が二人は好きだった。

「ほんとに、おいしいね マナちゃん」

「ありがと」
もらい物と言ってはいるが、実は1月の小遣いの三分の一を消費して、マナが自分で買ったのであった。


その時!

ガラガラ

「伊吹先生!」

ドアを開けたのは、マナとマユミの同級生の、鈴原トウジであった。

「どうかしたの?」伊吹保健医は、ティーカップを置いて立ち上がった。

「シンジの奴がサッカーボールを顔面で受けてもうたんや」

同じく同級生の、相田ケンスケが、シンジに肩を貸して保健室に入って来た。

「大丈夫?シンジ君! さっ ここに寝て」マナが血相を変えてシンジに近づいた。

「後は大丈夫よ」伊吹保健医は、鈴原トウジと、相田ケンスケに声をかけた。

「そうですか!それじゃぁ」二人は教室に戻って行った。

マナはベッドの上のシンジの額に冷やしたタオルを乗せていた。

「えっと消毒液は・・」伊吹保健医が、補充用の消毒液を探していた。

「あ、これですね」山岸マユミがすばやく箱の中から取り出した。

「ふふ ありがと」伊吹保健医は、いつも手伝ってくれる、この二人を可愛らしく思っていた。

「さ、マナちゃん いいかな」

「あ、ハイ」

ずっとシンジの横にいたマナは慌てて後ろに下がった。

手早く、マヤは、シンジの額の傷を消毒し、カットバンを張った。

「傷はたいした事無いわね 後も残らないし・ちょっと脳震盪起こしてるだけだから、寝かせておけば大丈夫ね」

「よかったぁ」マナが相好を崩した。

「マナったら、シンジ君らぶらぶなのに、何故声をかけられないのかしらね・・」

「だって・・」

マヤは、二人のやりとりを見て微笑んでいた。

「ちょっと苦しそうね ベルトを緩めてあげてくれるかしら?マナちゃん」マヤは少し意地悪くマナに言った。

「私がですか?」

「ごめんね 日誌つけないといけないのよ」

「わ、分かりました」

マナはそろそろと、シンジの腰に手を持っていった。

「ゴクッ」

「何つば飲んでるのよマナちゃん」

「ちょっと黙ってて」マナはようやくベルトに触る事が出来た。

だが、間違ってベルトを緩めるのでは無く、少し締めてしまおうとしていた。

「んっ」シンジの苦しそうなうめき声がしたので、慌ててベルトを緩めていった。

「ふぅ」マナは一生懸命に、ベルトと格闘し、ついにベルトを緩めるのに成功した。

「汗・・拭いたら?マナちゃん」
「あ、ほんとだ」マナはハンカチで汗を拭いた。

クスッ 

押えていた笑いが、マヤから零れるのを見て、ようやくマナはマヤの真意に気がついた。

「伊吹先生・・・」

「ごめんなさいね あまりにも、汗だくになってシンジ君のベルトを外すあなたが可愛かったから」
マヤは微笑んだ。

「もう・・」
怒りたい所だが、そのせいでシンジに近づけたのだから、マナは黙っていた。


キーンコーンカーンコーン


「あぁ〜お昼休みが終わっちゃう」

「シンジ君が目を覚ましたら私が教室まで送るから」

「お願いしまーす」

「またね!伊吹先生」

二人は教室に向かって駆け出していった。

マヤは思い出し笑いをしながら、保健日誌を書いていた。

「んんっ ここは」
どうやら、シンジが目覚めたようだ。

「あ、目が覚めたの?シンちゃん」マヤは振り向いた。

「シンちゃんって言わないでって言ったでしょ・・マヤ」

「ごめんね あ・な・た」マヤは舌を出した。

「ほんとマヤさんは両極端なんだから」

「あ、ベルトが外れてる・・まさか・・」

「違うわよ・・苦しそうにしてたから、霧島さんに緩めて貰ったのよ」

「ホントですか?前みたいに、朝目を覚ましたらマヤさんが上に乗ってた事もあるし」

「だって・・」マヤは少し下を向いた。
少し、上目つかいで、シンジの顔色を伺うマヤ・・すんごく可愛い仕種である。

「怒って無いよ・・マヤさん」シンジがいつもの笑顔を見せたので、マヤの顔も輝いた。
「じゃ、教室に戻ります・・今日は何時ぐらいになるの?」

「今日は会議も無いし、5時すぎには帰るわよ」

「じゃ、晩御飯用意しときますね  じゃ」

碇シンジは、保健室を出て行った。


実は、シンジの母 ユイは、マヤの大学での恩師なのであった。
いつも忙しい碇夫妻に変わって、シンジの家庭教師を請け負ったのが、始まりであった。

XDAY 以降(笑)シンジは、マヤのマンションに入り浸っていた。
碇夫妻は、研究で忙しく、殆ど家に帰らないので、そんな時は朝までマヤの部屋で過ごしているのだ。

だから、マヤのマンションのベランダには、マヤの洗濯物と一緒に、シンジのワイシャツも干されているのだ。

「さて、早く仕事片づけなきゃね」マヤは仕事に没頭していった。

第1話 終


「碇・・本当に続くのか?」

「その予定は無い・・」


※結局続く事になりました。

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