さすがに集音機と監視カメラで監視していただけに、その15秒後には
黒服のガードマンが駆けつけたので、意識を回復したら自殺を図るかも
知れない事を告げて、テロリストの身柄をガードマンに預けた。
「しかし、この部屋に来るまで何度もIDカードをチェックされただろうに…
もしかして、NERV内にもすでに相当数のテロリストがいるんじゃ……」
急激に動かしたせいで、ズキズキと痛む背中をアスカにさすって貰いながら
俺は呟いた。「…………怪我してる繁智を狙った事を私は許せない……」
アスカは怒りのあまり声を震わせていた。 もし、あそこでアスカが気づいて
くれなかったら、今頃俺は死んでいたのだ。 その事を再認識してようやく
俺は恐怖を感じ始めていた。
【変革を求める者】
第62話 「涙 Eパート」
「報告は受けてるけど治療の方はほぼ順調のようね」赤木博士が俺のカルテをちらちらと
見ながら今日呼ばれた理由を考えているのか、俺の方を窺っていた。
アスカが学校に行っている時間を指定して呼び出したのは俺だし、アスカには聞かせたく
無いような話がある事は当然察している筈だ。
「時期は分かりませんが、近い内に次の使徒が侵攻して来ます……前回はまともに動ける
エヴァが二体しか無かった事もあって苦戦しました……そこで一つお願いがあります」
赤木博士に頼んで一切の記録を行わないように頼んではいるものの、NERV内にも獅子
身中の虫が他にもいないと言う保証は無く、俺は赤木博士を近くまで呼び寄せて言った。
「それは可能だけど……何か意味があるの?」小声で言った俺の願いを聞いて赤木博士
は怪訝そうな声で答えた。
「詳しくは言えません……今回は四機が稼働出来る状態ですし、その機能を使わざるを
得ないようにはさせないつもりですが……それと例の装置の事をあまりショックになら
ないようにシンジに伝える事をお願い出来ませんか?それは綾波にも事前に話してから
でないと意味が無いと思いますけど……」これは賭けではあったが、綾波を失ったと思い
込んでいる状態の時に悪意に駆られた状態で”あの機械”を見せられたからこそ、かなり
のショックを受けたと思われる訳で、その前提状況を変える事でソフトに事態の認識を
させる事が出来るのでは無いかと思ったのである。
「あの二人の事はミサトからも聞いてるけど……やはり必要かしらね」さすがにこの件
については僅かに眉をしかめた赤木博士が嘆息を漏らして言った。
「今のままでは……二人が可愛そうです もし遺伝子的にも問題が無いのなら例の事だ
けを告げてあげるべきでは……問題があるならあるで伝える必要があると思います。
その事を告げる事が出来るのは、綾波の育ての母とも言えるあなたしかいないんです」
「そうね……じゃあレイにまず話してみるわ」赤木博士は少し考えた後、こめかみを揉
みながら答えた。
「実際の所どうなんですか?二人の遺伝子に問題は……余計な事かも知れませんが」
「一応その辺りはチェックしたわ……まぁ従兄弟ってぐらいの血縁関係的な繋がりは
見られるわね……別に問題無いレベルだと思うけど……」
「分かりました……この話はここまでにしましょう……ところで、俺を狙ったテロリスト
は何か吐きましたか?」
「せっかく生かして捕まえてくれたんだけど……何か薬剤を事前に打たれていたみたいで
仕事が終わる頃には記憶不全に陥るようにされていたようで、あまりこれと言った情報は
無かったわ……例の組織については公安が目を付けているようだからそれに協力する方針
のようね」
「厳重なチェックだったと思うんですが、それはどうやって?」
「身元的には確かだと思われたのよね……前回のチェックの際には特殊な団体との交友も
無かったようだし……」赤木博士は言い終えた後嘆息を漏らした。
「それじゃ帰るわね 何かあったら電話して頂戴」いくつかの伝達事項を伝えた後、
赤木博士は病室を出て行った。
時間は午後四時半……アスカは未だ学校にいる事だろう……
俺は一眠りするべく、赤木博士と話をする為角度を上げていたベッドの角度を元に戻そう
と、スイッチを入れた所で何か違和感を感じた。
アダムとの融合により飛躍的に進化を遂げた超知覚とでも言うべき何かが警報を発してい
るのだ。俺は背中の痛みも構わず、慌ててベッドから飛び降りた。
部屋を飛び出して石川さんがいる筈の控え室の前まで来た時、背後から爆発音が響いた。
「な、何だ?」爆発音を聞き、慌てて控え室から黒服の男が飛び出して来た。
「ベッドの角度を変えようとした時、妙な音が聞こえたんで不審に思って聞きに来たん
です……」俺はそこまで言った所で目眩を感じて床に崩れ落ちた。
「繁智……」奇妙な不安感に捕らわれ、ヒカリに頼み込んで掃除当番を代わって貰った
アスカは小走りで繁智のいる病棟に向かっていた。病棟内では走る事が出来ないので、
気が急きながらもアスカは早足で繁智の病室に向かっていた。
繁智の部屋までもう少しと言う所で爆発音が響き、アスカは血相を変えて走り出した。
「繁智!」廊下で突っ伏している繁智を見てアスカが悲痛な叫び声を上げた。
「爆発の直撃は受けていない筈だ 心配無い」
黒服の男の一人 アスカもその存在を知っている石川カズヒロがアスカに説明を始めた。
「どういう事なの?」
「まだ何とも……どうやら彼の病室のベッドに爆発物が仕掛けられていたらしい……
とにかく安全な場所に彼を移すから、貴方もついて来た方がいい」
そう言って石川はもう一人の黒服の男と二人で吉田を抱き上げた。
「繁智……」地下の特別室らしい部屋に運び込まれ、未だ眼を覚まさない吉田の手をアス
カはそっと握りしめていた。
確かに今目の前で息をしている……たいした外傷も無いと言うのに何故ここまで不安なの
か……それは自分の身体に再び起こり始めた変化と関係があるからだと気づいた。
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どうもありがとうございました!
第62話 終わり
第63話
に続く!
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