夢の中で誰かが私に何かを告げようとしていた……
私はその言葉の意味を理解しようと試みたが、頭で理解しようと思えば思う程、
それは遠のいて行くのだった……これまで頭で理解出来なかった事は無いのに。
いや、だからこそ理解出来なかったのか……私は必死になってそのメッセージを
読み取ろうとした時、私は眠りより覚まされた。


【変革を求める者】

第55話 「せめて人間らしく Dパート」
*今回はアスカの視点で進行します
*更に一部時系列巻き戻してます


「ん……ここは?」まだすっきりしない頭を軽く振って私は上半身を起こした。
頭を振った事で軽い頭痛を覚えた私はふと左手の違和感に気づいた。
透明な色の点滴が左手の静脈に打たれていたのだ。
赤木博士の部屋で話をしていた所までは覚えているのだが、その後の記憶が無い
ここは恐らくNERV施設内の病室だろうか……話を聞いている内に身体の変調
を感じ、軽い目眩を感じはじめていた事を思い出し、私は気を失ったのだと悟った。

「確か警報が鳴っていたような……」
私が気を失う直前 警報が鳴り響いていた事を思い出し、私はナースコールのボタン
を押した。

「はい どうかされましたか?」少しして看護婦の物と思われる声が返った
「今、どういった状況なの?倒れた時に警報が鳴っていたように思うんだけど」
「NERV本部の警報の事はよく分からないですねぇ あ、眼が覚められたんなら、
一度医師がそちらに向かいますので、安静にしていて下さい」
結局警報の事ははぐらかされてしまったようだ 
もうすぐ来ると言う医師に問いつめてみようかと思ったが、私はいてもたっても
いられないようなそんな不安感を感じ始めていた。
私の懸念の通り もし使徒が襲来して来ているとしても チルドレンは何も繁智だけ
じゃ無い シンジもレイもいる……なのに私は不安感をぬぐい去る事が出来ない。
恐らく現実に今 繁智は危機に直面しようとしているのだ と私は何故か確信する
事が出来た。

 赤木博士の私室にいた時は体調が良く無かったが、今の私は平常に近い と判断し
私は慎重に恐らくブドウ糖の溶液が入っているだろう点滴の針を抜き、ティッシュを
畳んだものを傷跡に押し当てた。 5秒ほど押しつけた後 私は慎重に立ち上がった。
幸い立ちくらみのようなものはもう感じなかった
服は脱がされて下着姿だったので、私は自分の身に付けていた服を探した。
服はかごの中に入れられており、私はもどかしく思いながらも服を身につけた。

「携帯はと…あった」電源は切られていたものの、携帯電話は着衣のかごに入っていた
ので私は取り出して電源を入れた
「あれ…アンテナ立って無い……どうして?」
前に繁智が入院していた時には確かに携帯電話が使えたのに今は使えない
前回と今回どこが違うか=使徒の来襲 だと私は想定して電話を畳み、病室から走り出た。
 私は地下のケイジへの最短ルートを急いだ まず弐号機の出撃準備をさせる必要が
あると思ったからだ。 私が病院に担ぎ込まれていた為、準備がなされているとは
思えなかった。

「弐号機の出撃準備は出来てる?何分で出れるの?」私はケイジに駆け込んで叫んだ。

「アスカ! あなた倒れたんでしょう?病院から出てきたの?」
ミサトが慌てて私の元に駆けつけて来て叫んだ。

「何よ初号機も零号機も出撃してないじゃ無いのよ お願い急がせて!」
私は必死になってミサトに懇願した。
「シンジ君とレイは移動中の電車が緊急停止してしまい、その時脱線したせいで、
まだ当分ここには来れそうも無いわ!ヘリは向かわせているけども……
だから念のため弐号機の出撃準備をしておいたから、すぐ出られるわよ!」

「そう それなら出撃するわ その為に来たんだもの」
私はプラグに搭乗する為のリフトに乗り込んだ。

「大丈夫なの?あなた病院に運ばれたばかりで、何分も経って無いじゃない」
「大丈夫よ それより繁智が言ってたと思うけどロンゲノスの槍とか言う武器の
準備は?」私はリフトのボタンを押し リフトを上昇させた。

「ロンギヌスの槍の事?それなら司令と交渉中よ ってアスカあなたプラグスーツ
着てないじゃ無い! 駄目よ 服なんて雑菌の固まりなんだから!」
ミサトは口から泡を飛ばして叫んだ。

「うるさいわねぇ わかってるわよ 今の一分一秒が私には勿体無いの 脱げば
いいんでしょう?」 そう言って私はワンピースを脱ぎ捨てた。

「ちょっと アスカ!」
「この前テストしたじゃない プラグスーツ無くてもシンクロ出来るわよ」
そう言って私は下着姿でエントリープラグに入り、プラグの中で下着を脱ぎ捨てて
外に放り出してハッチを閉めた。

エントリーの手続きの前にコンソールで設定を行い、通信の際 こちらの映像を
送らないようにしておいた。 こんな姿を見せるのは繁智だけなんだから……

「映像が届いて無いけど、アスカなの?」 いつの間にか通信が回復していたのか、
赤木博士の声がスピーカーから流れ出た。
「そうよ! 弐号機 出撃するわ リツコからも、その何とかの槍の使用許可貰える
ように頼んでよ いま吉田は通用する武器も無く一人で支えてるのよ?」

「ちょっと待って 今司令に再確認するから、取りあえずロンギヌスの槍のある場所
まで弐号機を移動させて! マヤ!アスカのターミナルドグマへの移動をサポート
しなさい」

「分かったわ! ターミナルドグマに向かいます!」 私は弐号機にLCLを注入させ
シンクロを開始した。

シンクロし終え、私は通信が回復している事を思い出し、繁智の四号機に接続を試みた。

 こんな俺がシンジやアスカを救おうだなんて思っていただなんて……
自分の事に眼を瞑って現実に背を向けていただけじゃ無いか……シンジやアスカの事は
単なる逃避では無かったのか……こんな俺にアスカを幸せにする事が……出来るのか…
母に捨てられるような俺が……自分で自分を愛する事も出来ない俺が……………………


 繁智は小さい声でぶつぶつと同じ事を繰り返しているようだった。
私は何故か今繁智が置かれている状況を瞬時に把握する事が出来、
なおかつ繁智の精神状態を知る事も出来た。

そして、ついに繁智の心が挫けそうになった時、私は繁智に向かって叫んだ。
何やってるのよ繁智! あんたはそんなに弱い人間じゃ無いわ!
自らの弱さを知って尚かつそれに立ち向かって行ける人間の筈よ!」

「今、ロンギヌスの槍を取りに行ってるから、少し時間を稼いで頂戴!」
「分かった! ありがとう……アスカ」

私は繁智との通話を止め、ターミナルドグマに向かって弐号機の速度を上げた。

その移動中 私は何らかの答えを得ている事に気づいた。
まるで羊水のようなLCLに裸で浸かっているせいか、とても気分も落ち着いて
おり、夢の中で何度も答えを知ろうとしていた事柄についての答えをもう得ている
事に気づいた。 ここ最近の体調や心の変動……それらは繁智の精を受け止めた事
で、私も繁智と同じ身体になれたのだと。
その事に確信を持ち、私は裸の下腹部を一度さすった。
アダムと融合した 既に人間とは呼べない存在に私もなったのだけど、
私は何も怖く無かった。 繁智がいるから……
「アスカ!ロンギヌスの槍の使用許可が降りたわよ!」
「了解!」私は弾む声でリツコに応えた。




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どうもありがとうございました!


第55話 終わり

第56話 に続く!


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