「ま、まさか……そんな だってほんの先週の事なのにそんな訳………」
私はミサトの誤解を解く為に慌てて説明を……って あわわ
「…………へー先週……先週に……何をしたって?」
「ナニを……って……え?何の事?」
「アースーカー?」
「え……だってお姉さんの許可貰えたし……宿直してた伊吹二尉にはモニタをその…」
「あれ、ミサトさん どうしたんです?」
その時、ようやく繁智が現れた。
「何でも無いの さっ行きましょ じゃあね ミサト」
そう言って私は繁智の手を取って駆けだした。
【変革を求める者】
第53話 「せめて人間らしく Bパート」
そして翌日の土曜日の午前8時……
俺は携帯電話にセットしておいたアラーム音で眼を覚ました。
今日は学校は休みなのだが、赤木博士と今後の事について9時から面談する事に
していたのだ……俺は手早く着替えて下に降りていった。
「あれ、もう起きたの?繁智」一階の居間でTVも付けずに雑誌を読んでいたアスカが
俺に気づいて声をかけて来た。 夕べは遅くまでアスカに勉強を見て貰っていたので、
まだ少し眠いのだがどうと言う程の事は無かった。
姉さんはいつものように勤務だし、親父は試合が近いとかで学校だ……
普段四人で暮らしているとあまり広くないこの家だが、こうしてアスカと二人でいると
とても広く感じた。
「9時から赤木博士と面談があるんだよ……で、10時から二時間NERVで空手の練習…
その後何か食べてから帰ろうか」
「じゃ朝ご飯用意するわね そうだ 私もついていっていい? どうせ10時前には
ネルフに行くつもりだったし」アスカは立ち上がりみそ汁が入っているらしい鍋に火
をつけて、きゅうりの浅漬けを包丁で切り始めた。
「ああ 一緒に面談受けても構わないよ……今後の相談するだけだし」
「そう……あ、お茶は温かいのがいい? 冷たいのがいい?」
「ぬるめのお茶でいい」
そうこうしている内にみそ汁が沸き、みそ汁 漬け物 卵焼き ご飯というメニューが
居間のテーブルの上に並んだ。
「アスカはもう食べたのか?」 一人分しか無いのを見て俺はアスカに問いかけた。
「うん…こんなに早く起きると思わなかったから…… あ、卵焼きには何かける?
マヨネーズ?ソース?ケチャップ?」
「醤油でいいよ」 俺は手の届く場所に醤油の小瓶を見つけたので、軽くふりかけた。
・
目玉焼き/卵焼き には醤油だっつってんだろ!
・
俺は手早に朝食をかきこみ、アスカがいれてくれたぬるめの茶で茶漬けを作り二杯目
の飯をたいらげた頃にはアスカがいつもの俺のスポーツバッグに道着とタオル等を詰め
てくれていた。
「8時15分か……」俺はちらりと時計を見てから食器を流しに置いて上着を羽織った
「もうそろそろ出かける?」
「そうだな……行こうか」
アスカの方も準備は整っているのを確認した俺は玄関に向かった。
俺達が出かけると家に誰もいなくなるので俺は玄関の鍵を閉めた。
この家は常時最低一人はNERVの黒服が近くに詰めてるから泥棒の心配は無いのだが……
「空手の練習も久しぶりだな……」俺は黒塗りの車がついてきてる事を確認して、
少し歩を早めて駅に向かった。
「そうね……」アスカは心なしか沈んだ声で答えた。 今日の様子を見ていると少し
は元通りになりかけていたと思っていただけに俺は少々ショックを受けていた。
いくばくかの不安を抱えながらも俺達の乗る電車はNERVへと近づいていった
「それで、ロンギヌスの槍にチェーンを付けるみたいな事は無理ですか……」
「馬鹿言わないでよ チェーンの長さだけでどれぐらいになると思うの?」
「ですが、次の使徒は大気圏外から精神攻撃をして来る筈です……現状ではロンギヌス
の槍でしかしとめる事は出来ません……ですけど、槍を失う訳にはいかないんです」
十数分後 俺達は赤木博士の私室に通され、今後の事について討議を進めていた。
その間 アスカは特に何かを喋る訳でも無く、俺と赤木博士の話を聞いていた。
「ふぅ……それじゃ今回の使徒への対処方法無しって訳ですか……ただ救いなのは、
今回は4体のエヴァを全機投入出来るだけか……けど敵の攻撃の目標を絞らさない
為ぐらいにしかならないですね……」
俺は赤木博士が入れてくれたコーヒーを啜り、ため息を一つ吐いた。
「吉田君の力で何とかならないの?」赤木博士が疲れた眼をして呟いた。
「無茶言わないで下さいよ 竹槍でB29を落とせと言ってるようなものですよ……」
「それもそうね……」
「ていうか そういう高レンジでの戦闘を想定して無かったんですか? パレットガン
やプログナイフで大気圏外の使徒を攻撃出来る訳無いじゃ無いですか……この間から
使ってる改良型ポジトロンライフルでも射程も出力も足りないんでしょう?」
「耳が痛いわね……確かに考えて無かった訳じゃ無いけど実用出来る段階のものは無い
のが実情ね……あ、煙草吸っていい?」
「どうぞ…… アスカは何かアイデア無いか?」
俺はこれまで黙っていたアスカに水を向けてみた。
「そうね……ヌンチャクみたいなものを投げる事は出来ない? 繁智」
アスカは顔を上げて俺に応えてくれたが、その顔色はあまり良く無かった。
「練習すれば出来るかも知れないけど……俺の習ってる流派では使わないし……」
「駄目ね 飛んで行くのに時間かかりすぎるし、第一減速するから大気圏どころか
雲を突き抜けるのにも無理があるわね それにATフィールドで簡単に弾かれるわ」
「そうか……ロンギヌスの槍だからこそか……今からでもロンギヌスの槍の複製とか
出来ませんか……今回は間に合わなくても……」
「一応やらせてはいるけど、全体的に人材不足なのよね……どうしても目の前の使徒
への対応や事後策とかに手を取られちゃって……」
「出来るだけゼーレの手のかかって無さそうな人にやらせて下さい 前回はその解析
データが盗まれていたように思いますから……」
「そう……君が見て来たもの……その全てを知れば私は正気でいられるかしら……」
赤木博士は煙草を灰皿に押しつけながら呟いた。
「いつ使徒が襲来するかわかりません……今日中かも……今月中なのかも……」
「わかったわ こちらでも出来る限りの用意をしておくわね……」
「お願いします……そろそろ時間か じゃアスカ、道場に行こうか?」
「そうね……あっ」アスカはパイプ椅子から立ち上がろうとしてバランスを崩した。
俺はアスカの腰に素早く腕を廻してアスカが倒れるのを阻止する事が出来た。
「凄く顔色が悪い……アスカ 大丈夫なのか? アスカ!」
「すぐ医局の者を呼ぶわ 取りあえず寝かせておいて」
その時であった NERV全域に警報が鳴り響いたのは……
そう。 第十五使徒 アラエルの襲来であった。
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第53話 終わり
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