「ケフっ 君には護衛など必用無いのかも知れないがね」
石川氏はようやく自由になった喉をさすりながら呟いた。
「それは買いかぶりすぎと言う物ですよ この距離なら銃を出されても跳ねとばす
自信がありますけど、混雑してる駅とかで背後から狙われたり、狙撃されたりしたら
どうしようも無いですよ だから、その方針で護衛して欲しいですね」
俺は電柱の側に置いていたペットボトル入りの袋を持ち上げて言った。
「善処するよ」 俺が歩きはじめると石川氏はそう言って再び間を取って歩き始めた。
素性がばれたにも関らず護衛を続ける石川氏を見て俺は苦笑した。
「チルドレン候補か……じゃアメリカからエヴァの三号機か四号機でも引っ張るのかな」まがりなりにも平和な日常…
それが音を立てて崩壊して行くかのような予感を俺は感じた。
【変革を求める者】
外伝1「今日からは… Cパート」
*本編33話を読んでおいて下さい。
「よしっと これでつみれ もOKっと 綾波 そこの深皿取ってくれる?」
料理も最終段階に入っており、キッチンはおろか部屋中がいい匂いに包まれていた。
「はい 碇君」サイドテーブルに用意していた深皿を綾波が渡してくれたので、
僕はイワシのつみれを深皿におたまで移していった。
取り敢えず一皿分移して、僕はすでにミサトさんの所に持っていった。
「で、どうなのよ 吉田君の家族とはうまくやれてる?」
「智子さん あ、繁智のお姉さんの事ね 智子さんとはうまくいってるんだけど、
繁智のお父さんとはあまり会話が無いのよね この間醤油を取ってあげたら、
小声でお礼言われた とか トイレの前で鉢合わせになった時ぐらいしか
話す事無いわね…… 繁智を10倍ぐらい口下手にして厳つくした感じよ」
どうやら吉田君とアスカの事について話していたようなので、僕はそっとテーブルの
上にイワシのつみれ を置いた。
「おっ いい匂いね つみれまで作ってくれたの? シンちゃん」
「ビールのつまみに いいんじゃ無いかと思いまして……ってもう一本開けてる
んですか? もぉ〜」 僕はテーブルの上の空き缶を取り上げていった。
「明日早いし、三本までにしとくから ねっ」
そう言ってミサトさんは両手を合わせた。
「吉田君が帰って来て 食事を始める時に出しますから それまで我慢して下さい」
そう言って僕はキッチンに帰って来た。
綾波は焼くだけとなったイワシのハンバーグの為、フライパンの前で待機していた。
「吉田君が出かけてから五分……そろそろ引き返してる頃だと思うけど……
すぐ焼けるし、吉田君が来るまでフライパン温めておいてくれる?
僕は綾波に指示を出して、他の細々とした作業を進めていった。
思っていたよりも少し遅いかな と思った頃、汗だくになった吉田君が
駆け込んで来たので、僕は綾波と共にイワシのハンバーグやご飯の準備を始めた。
「帰りにちょっと迷って反対方向に行ってしまってたんだ……坂の所から
このマンションが見えたから、慌てて引き返して来たんだけど」
吉田君が袋に入ったジュースを取り出しながら言った。
いつも沈着冷静な吉田君が 道間違えたり、それで走って来るなんてのが
僕にはちょっと想像出来なかったので、意外な側面を見たような気がした。
「走って来たの? じゃ炭酸系の飲み物とか危なく無い? って繁智
炭酸 苦手だったのよね じゃ問題無いか」
「へぇ 吉田君炭酸苦手なの? 幼い頃のトラウマでもあるのかしら」
「そういう訳でも無いんですが、親父が買い食いとか許してくれなかったんで、
炭酸飲料とか飲む機会があまり無くて……小学校五年の春だったか、
遠足のおやつを買う為のお金の一部で炭酸飲料買ったんです
それがまた強烈な炭酸飲料だったんで、それ以来苦手ですね」
・
あかん 炭酸苦手やねん
・
大盛りによそったご飯を運んでいると、吉田君とアスカとミサトさんの話が
聞こえて来た。 炭酸飲料を口にして顔を歪める吉田君の顔を想像して、
僕は不謹慎にも笑ってしまいそうになっていた。
「碇君 これでいい?」
イワシのハンバーグの火加減を綾波が問い掛けて来たので、
僕は慌ててキッチンに戻った。
「うん いいと思うよ」つまようじで少し差してチェックした僕は
綾波に皿に盛るように頼み、煮込んでいたサバ味噌の最終チェックを始めた。
約3分後 全ての準備が整った僕たちは ビールとパインジュースで乾杯をし、
夕食会(?)は始まった。
マイワシのハンバーグ イワシのつみれ は多目に用意していたものの、
ビールを飲むミサトさん以外がご飯と共にいい食べっぷりだったので、
30分を待たずして無くなり、もう一晩ぐらい煮込みたかったサバ味噌
で二杯目 人によっては三杯目のご飯と共に、その過半数を消費していた。
肉以外の料理でも食べず嫌いで小食だった綾波も
最近は一緒に作って食べる事が多かったのでだいぶ慣れて来ており、
頬にご飯粒を付けて頬張っていた。
「はぁ〜 しかしあんた達も良く食べたわねぇ」
ミサトさんが三本目のビールを名残惜しそうにちびちび飲みながら呟いた。
「ミサトだってビール三本飲んだのにご飯二杯食べてるじゃない
カロリー的には結構いってるんじゃ無いかと思うけど」
アスカが空になった空き缶を指差して言った。
「だぁいじょうぶよ ビールとご飯は入る所違うんだから」
それを聞いて綾波が不思議そうな顔をしていた。
別に胃が二つある訳でも反芻する訳でも無い事を僕は小声で囁いた。
賑やかな談笑が小半時続き、吉田君とアスカをタクシーで送って行くと言うミサトさん
達を見送り、片づけの準備をしていると 部屋の片隅で寝入っている綾波に気づいた。
何の不安も恐れも無いかのような無垢な表情で壁にもたれかかって寝ている綾波を
起こす気にはなれなかったので、僕は綾波を起こさないように注意して片づけた。
凹凸のあまり無い皿は下洗いをして自動洗浄機に入れ、
サバ味噌の入っていた小皿や深皿などを手で洗っていると、
マナーモードに設定していた僕の携帯が軽く震えた。
「はい シンジです あ、ミサトさん ええまだ寝てます 分かりました」
まだ寝てるようなら居間を片づけて来客用の布団を敷いて寝かせてあげなさい
との指示をミサトさんから受けて僕は少し嬉しい気分に満たされていた。
もう 綾波とは離れて過ごしていたくない
出来れば今日からでも泊っていって欲しいと思っていたぐらいなのだから…
片づけを終え、布団を敷く間も努力して静かに行動したので、
綾波はまだ眼を覚ましてはいなかった。
起こすのも可哀想なので、もたれている壁に手を差し入れ、腰の上を右手で支え、
膝の裏に左手を入れて 僕はそっと綾波を持ち上げた。
綾波が寝ていた場所から布団までは3歩と言う所だったが、
制服姿の綾波の上下する胸を間近に見、綾波の体温を感じ
僕は正直 いつまでもこうしていたいと思っていた。
そしてゆっくりと綾波を布団の上に足から降ろし、背中を支えた手を布団と綾波との
間に挟むようにして、綾波を寝かせ 腕を引き抜き始めた時、綾波は眼を覚ました。
「碇……君」今の状況に気づいた綾波が(ポッ)と言う擬音が聞こえるかのように、
あっと言う間に頬を赤らめて呟いた。
「明日は8時に迎えが来るそうだし、今夜は泊っていったらいいよ
今寝間着の代りになるもの持って来るから……」と僕は説明して手を抜こうとした。
「碇君……」が、綾波は意図してか僕の右手を抜かせてはくれなかった。
僕は綾波の望んでいる事……それは僕も望んでいる事に気づき、
右手に力を入れ、綾波の背中を浮き上がらせた。
一瞬 無理やり手を引き抜かれるのかと思って悲しそうな表情をしている綾波に
僕はそっと 顔を寄せた。
顔を真っ赤にしたまま 瞼を閉じた綾波に 僕はそっと唇を重ねた。
陳腐なまでの表現だが、永遠かのように思われた一瞬は過ぎ去り、
吉田君とアスカをタクシーで送り、その足で戻って来たミサトさんがドアホンを
押すまでの僅かな間 僕たちは離れる事が出来ず、お互いを抱きしめあっていた。
帰って来たミサトさんが綾波の制服の服の乱れに気づき、笑いながら四本目のビール
に手を伸ばしたのを 僕は止める事が出来なかった。
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(ポッ)なのかよ!古典的ぃ
昼夜合わせて何本飲んでるんだ
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
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どうもありがとうございました!
外伝1・Cパート 終わり
本編第34話
に続く!
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