「練習無しで決めるなんてやるわね 繁智」 アスカは拍手をしながら言った。
「本当 吉田君がエヴァのパイロットだったら心強いなぁ」
「じゃ交互にやってみて 一人3回づつ交代で」
「じゃ私から」 アスカは俺の動きをトレースしたが最後の体重移動がうまくいっていなかった。
俺は三人の練習を少し離れた所で見ながら考え事に耽っていた。
心身共にシンジも強くなってきたとは言え、俺の存在が逆にシンジの自立心にプラスにならないのでは
無いかと俺は思い、対策を至急立てるべきだと思い立った。
【変革を求める者】
第29話 「嘘と沈黙 Bパート」
そして数日後の金曜日の昼休み……
俺とチルドレン三人 それと相田に鈴原 洞木委員長は校舎の屋上で
昼食を取る為 めいめい適当な位置に腰を降ろした。
「あら、アスカ 今日はお弁当自分で作って来たの?」
アスカが弁当箱の包みを解いているのを洞木さんが見咎めて言った。
「う、うん サンドイッチだけどね」
今朝姉さんと一緒に台所でごそごそしていたのがサンドイッチ作りだと
俺は知らなかった。 もしかして朝手渡された俺の弁当箱にもサンドイッチ
が入っているのだろうか……一緒に昼食を屋上で取ろうと委員長が言い出さなければ
ばれなかったのだが……
俺は委員長の視線を気にしつつ弁当箱の包みを開いた。
蓋を開けると やはり大ぶりなサンドイッチが詰っていた。
しかしこれまで食べた事のある普通のサンドイッチとは少し違っているようだ
「お 吉田も今日は弁当かいな 珍しいのぉ」
サンドイッチに塗られたマスタードの匂いに釣られたのか、
トウジが鼻をぴくぴくさせながら近づいて来た。
「あ、ああ……」 だいぶ親しくなったとは言え、向こうから話しかけられるとは
思っていなかったので俺は内心驚いていた。
現に前回は掃除当番で同じ場所を掃く時とかに数回話した事がある程度だ……
アスカとは少し離れた所に座っているし、
気づかれる事は無いだろうと思っていたのですが……
「おいトウジ 明日の打ち合わせしとこうや」
「おお そうやったな」
ケンスケの恐らくは意図しなかったであろうフォローに俺は内心感謝した。
購買のパンをかじりながら明日行くらしいゲームセンターの話を始めた
のを確認して俺は弁当の蓋を開いた。
シンジとレイはどうやら二人で作ったらしい弁当を開いているようだ
先日の雑炊の出来からして教えるシンジの腕は相当なものだろうから
もうかなり出来るようになったのかも知れないと俺はぼんやりと思っていた
すると、アスカの視線を感じたので、俺は食事を始める事にした。
軽くトーストしたパンにレタスやベーコンを挟んだ洋風のサンドイッチを
俺は掴んで口に入れた。
アスカがちらちらとこちらを見ているので、俺は手にしたサンドイッチを
少し持ち上げてアスカに 旨い と言うジェスチャーを送った。
「で、明日の土曜 何か予定あるの? アスカ」
食事の合間に委員長はアスカに声をかけていた。
明日が休みと言う事もあり多少機嫌がいいようだ。
「んー別に今の所……」 アスカはちらちらと俺の方を見て言った。
「最近 加持さんの話しないけど、会って無いの?」
「何か今出張中みたい 大体最近会って無いんだけど…」
そう答えつつもアスカは俺に指示を求めて目配せをして来ていた。
明日 特に約束している訳では無いが、同じ家に住んでいるのだから、
打ち合わせも簡単だし、どこか出かける事も考えてはいた……
そこで、俺はアスカにだけわかるように自分の拳の空手タコを示した。
「あ、そういえば 明日空手の道場に顔を出す事になってたの」
アスカは俺の意図を察して委員長に答えた。
「そう……アスカさっきから落ち着き無いわね そわそわして…」
さすがに委員長も不審に思ったのかアスカの視線の正面にいる俺に
気づいた。
「あれ、吉田君もアスカと同じアメリカンクラブハウスサンドイッチ
食べてるの? 具といいパンといい同じじゃないそれ」
「あ、本当だ 美味しそうだね 誰が作ったの? もしかしてアスカ?」
料理に関しては一家言を持つシンジまでもが近づいて来て言った。
「明日 空手 予定入って無い 予定変更?」
ゆっくり味わうようにだし巻き卵を食べていたレイが
シンジの横に歩いて来て言った。
「あっそう……そうなの…親友の私にも教えてくれないなんて……」
委員長は多げさに顔をぷるぷる震わせながら言った。
「今度アスカが昇段試験受けたいって言ってたから明日アスカと道場に
顔を出して話通しておこうかと思ったんだよ……」
「昇段試験って何?」レイがシンジ達と一緒に空手を始めた理由も
俺には想像が付かないのだが、昇段試験にまで興味を示すとは思わなかった。
「空手に限らず 柔道や剣道なんかで その人の熟練の度合を級や段で
示すんだよ 空手や柔道は腰に巻く帯の色が級や段によって違うんだよ」
「私達は白い帯……吉田君は黒い帯 吉田君は昇段試験を受けたと言う事?」
「そう 最初は級から初めて 今初段だよ 昇級にもいろいろルールがあるんだ」
レイの疑問に一つ一つ答えて行きながら、おかげで委員長からの追撃が止まった
事に内心俺はほっとしていた。 が、それはぬか喜びであった。
「僕はまだ昇段なんて無理だと思うけど、レイはどうする?」
「良く分からない……吉田君はどう思う?」
「そうだな いきなり段てのは難しいかも知れないけど、二級ぐらいなら
取れると思うけど……二級でなら試合形式じゃ無いから大丈夫だと思うけどな」
あえて判断はシンジに任せる事にした。
今のシンジになら自分で判断する事が出来るだろうと思っての事だ。
「シンクロテストとかも多いし、どこまで時間取れるか分からないけど……
やってみたいって……思うんだ」 シンジは少し逡巡しつつも言い切った。
前に一歩踏み出し始めたシンジを俺は少し誇らしく思えた。
「じゃ私も……問題無い?」 レイはシンジをまじまじと見てから言った。
「わかった じゃ明日の土曜日 お昼ぐらいに集合しよう 道着と着替えとか
も一応持って来て貰えるかな」
「わかったよ」
「了解」
「はーい」
三人の返事を聞き、俺は話をこれで終えようとしたのだが……
「そっちの話はカタついたみたいね……で、いつから付き合ってるの?」
委員長が待ってましたとばかりににじり寄って来た。
「いつからって言うか……つい最近……かな」
俺は委員長の迫力に押されて語尾に力が無くなって来ていた。
「やっぱりそうだったんだ……最近アスカ 加持さん加持さん
言わなくなったと思ってたし、昨日も……その」
昨日のやりとりをやはり少し聞かれていた事に気づき俺は柄にも無く
顔を赤らめてしまった。
鈍感なシンジにしては洞察力が働いたと言えるだろう。
シンジ自身もレイと付き合い始めたからだろうか……
昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴りはじめたので、
話はそこまでにして俺達は階段を降りる事にした。
委員長はまだ追求したいようだったので、
予鈴に救われたと俺は内心思った。
午後すぐの授業は歴史の時間なので担任の老教師がすでに
教室に来ていてスライドの準備をしていた。
生徒はまだ殆ど集まって来てはいなかった。
「あ、惣流君 住所変更の用紙を渡すから後で職員室に
取りに来なさい」 老教師がアスカに気づいて声をかけて来た。
葛城三佐の手回しで現在のホテルを出て吉田の家にステイする事は
伝えて貰っていたのだが、まだ書類の提出をしていなかったのだ。
「あ……分かりました」
アスカは平静を装って返事をしたが、語尾の震えは劃せなかった。
「あのホテル出るの?アスカ 今度遊びに行くって約束してたのに」
委員長が不審な表情でアスカに話しかけた。
「ああ吉田君 惣流君は親元を離れて一人で日本に来ているんだから
いろいろ面倒見てやってくれよ 」
委員長が首を傾げている所に老教師が俺の存在に気づいて話しかけた
その言葉が致命傷となった……
その後、委員長に掴まり 明日の9時に俺の家に査察に来る事を
受け入れさせられた……シンジとレイも待ち合わせの都合上
その時間に合わせて遊びに来る事となった……
いつかはばれるかも知れないと思っていたが、
一週間も持たなかったのは計算外であった。
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そんな展開アリなのかよ
吉田の性格崩れて来て無いか?
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
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どうもありがとうございました!
第29話 終わり
第30話
に続く!
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