「じゃ、行きましょ そろそろいい時間だし
「ああ」 篭を握った手を下まで降ろせば腕は楽だが、足に当るので俺は無理して持ち上げていた。

「ふふ…… 男の子してるねぇ」
アスカがレジに並んでいる時にそう呟いたが、俺は無視する事にした。
どういう反応を返せばいいから分からなかったからだが……


【変革を求める者】

第20話 「奇跡の価値は Cパート」


「おめでとーございまーす」
乾杯の合図を取ったトウジの声と共にグラスや缶が打ち鳴らされた。

テーブルの上には シンジと洞木さんの苦心の作の料理が並んでおり、
揚げたての手羽先チキンなどは芳香を立ち登らせていた。
酒のツマミ用なのか、豚肉の角煮タッタ揚げも山盛り鉢に持ってあった。

「ありがとー ありがとー鈴原君」
ミサトのビールの好みを知らないトウジ達が買って来た為、
ミサトが手にしているのは普段飲みなれているエビ○では無かったが、
ミサトは屈託なくトウジに話しかけた。

「ちゃうちゃう 言い出しっぺはこいつですねん けど実際取り仕切ったのは
委員長やけどな」 トウジはケンスケの頭を指差して言った。

「あ、あれ 持って来ようか」 シンジはそう言って立ち上がり台所へと歩いていった。

「…………」 レイは無言でグラスに入った烏龍茶を眺め、一口づつ大事そうに飲んでいた。
以前共同生活した時のジュースはあまり気にいらなかったのか口にして無かったので、
嬉しそうにちびちび飲んでいるレイを見て俺は少し安心した。

「これ、美味しいわね 委員長料理上手よねぇ」 アスカは手羽先に舌鼓を打った。
「下味付けるのは私がやったけど、揚げたのは碇君よ これ」 ヒカリは何かと言うと
シンジに突っかかるアスカを宥める為か、シンジのフォローをしていた。

「揚げるの何て誰でも……って事は無いわね……肉はジューシーなままだし……」
アスカは骨の側の肉も削ぎ落として食べていた。

「あれ、綾波は食べないのか?」
どの料理にも箸を付けていない綾波を見て俺は問いかけた。

「私……肉 嫌いだから」 綾波は空になりかけたグラスを手にそう答えた。

「鳥の手羽先に豚肉のタッタ揚げ……全部肉か……」
渇き物のツマミはあったが、レイの夕食には物足りないだろう。
俺は少し考えて立ち上がろうとした時、ケーキを手にしたシンジが入って来た。

「まぁ シンちゃん ケーキまで焼いてくれたの? 誕生日でも無いのに」
ミサトさんは満面に笑みを浮かべてケーキの載った皿を浮けとって言った。

「あ、ちょっといいかな」 俺は腰かけようとしていたシンジに話しかけた。
「うん 何?」 俺はキッチンで話をするべく、キッチンを指差して言った。

「と言う訳で、綾波は肉が駄目なんだそうだよ」
「そうだったのか……言ってくれたら用意したのに……」
「で、加持さんと赤木博士もうすぐ来るんだろう? 来る途中にピザ屋があったから、
そこで肉の入って無いピザを一枚買って来て貰うように連絡出来ないだろうか」

「加持さんの携帯番号は……あった じゃかけてみるね」 緊急時の連絡先として
NERVの各機関の電話番号などが書かれた貼り紙を見てシンジは答えた。

後はシンジがしてくれるだろうから、俺は席に戻った。

「今、碇が肉じゃ無い料理を手配してくれてるから、無理して食べなくてもいいよ」
俺はそう言って空になりかけていた綾波のグラスに烏龍茶を注いだ。

「……ありがとう」 レイは小声で返事をした。 もしかして烏龍茶をもっと飲みた
かったけど、引っ込み思案なので自分で注げなかったのだろうかと俺は思った。
その理論を証明するかのように綾波は烏龍茶を再びちびちびと飲みはじめていた。

10分程して、ドアホンの音が鳴り響いた。
「きっと加持さんだわ」 アスカはそう言って立ち上がった。

「本部から直なんでね そこで一緒になったんだ」
そう言って加持氏は赤木博士を伴って現れた。 二人ともカジュアルな格好をしており、
NERVの制服姿or白衣姿しか知らない俺は少し驚いた。

「怪しいわねx2」ミサトとアスカは声をハモらせて追求した。
この表現方法懐かしい >X2

「あ、これ 頼まれてたピザ」 加持さんは四角い箱に入ったピザをシンジに手渡した。
「あ、ありがとうございます いくらでしたか?」
「いや、気にしなくていいよ」

シンジと加持さんが問答してる間に俺はピザの箱をレイの目の前で開いてあげた。
中に入っているのはアスパラとツナとマヨネーズが山盛り状態のツナマヨピザだった。
 ピザロイヤルハット準拠(笑) 

「これなら大丈夫みたいだよ」
俺はピザ一切れを切り離して小皿に乗せてレイに差し出した。
「ありがとう……」レイはそう言ってフォークを使ってピザと格闘を始めた。

「ん? どうしたの? 吉田」 アスカがピザの存在に気づいて問いかけて来た。
「綾波さん 肉 駄目だそうだから 肉の入って無いピザ頼んで貰ったんだよ」

「なんだ言ってくれたらスーパー行った時に何か買って来たのにねぇ……
それ 美味しそうね ちょっと食べていい?」 と言ってアスカはピザ一切れを
手で切り離し、そのまま口に運んだ。

それを見ていたレイは食べるのに苦労していたピザをアスカの真似をして、
手掴みで食べはじめた。

フォークで少しづつ千切って食べるのと違い、温かいまま口に放り込む事で、
豊潤な匂いが口の中一杯広がり、本当のピザの味を知ったレイは、
烏龍茶を飲みつつピザを順調に食べ進めていっていたので、
俺は適時烏龍茶をつぎ足していってやった。
妹がいればこんな感じだったろうかと俺は思って苦笑した。

「あ、そうだ アレ もう冷えたんじゃ無い?」
グレープの果実ジュースが空になったので、アスカが俺に問いかけて来た。

「じゃ、取って来るよ 取り敢えず1セットでいいかな」
俺は立ち上がり、キッチンに行き 大きい冷蔵庫から良く冷えたバドワ○ザー
を取り出した。 ビール専用で大型な冷蔵庫なだけはありよく冷えていた。

加持さんと赤木博士は駆けつけ三杯をミサトさんに強要されて、
ほどよく赤くなっており、大人三人は話に夢中であった。

「はい これ」 俺は紙ケースからバドワイザーを一本取り出してアスカに手渡した。
「あら、何それ?」洞木さんが気づいて問いかけて来た。
「アスカのお気に入りのジュースみたいだよ 2ケースあるから飲む?」
俺は洞木さんにトウジとケンスケの分も含めて三本手渡した。

そして、一人で黙々と食べていたシンジにも手渡し、紙ケースには丁度二本残ったので、
新しいグラスに注いでレイの前にも置いた。
「これ、ピザに合うと思うから飲んでみたらいいよ」

ピザに合う と言う俺の言葉に頷いたレイは 取り敢えず一口バ○ワイザーを口にした。
単体で飲むなら烏龍茶の方が好みであっただろうが、ピザには合ったらしく
レイは一口二口と順調に飲んでいった。

トウジやケンスケ シンジさえもが気に入って、あっと言う間に飲み干したので、
俺はもう1ケースを取り出して来て、自分を含む6人に手渡した。

ちょっとほろ苦いので、手羽先チキンにも良くあい、
あっと言う間に皆二缶目も飲み干していた。 そして、それはレイも例外では無かった。

トイレから出てきたミサトさんが異変に気づいたのは 二本目を飲んで10分後であった。
「ちょっと……あんたら何で顔 赤いのよ」

「ほえ?」 真っ赤な顔で上機嫌で洞木さんと何かを話していたアスカが顔を上げた。

「シンジぃ…… おまえ もっと積極的にならんといかんぞ! 身近な所に女いるんだし」「そうだよ おまえ 羨ましい環境なんだぞ」
トウジとケンスケはシンジに絡んでいた。

レイはと言うと、冷蔵庫から出てきたペンペンを抱きしめて小言で何か呟いていた。

俺も二本目の途中から眠気のような物を感じていたが、ようやく異変に気づきかけていた。
そう 狂乱の夜は始まったばかりであった。




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どうもありがとうございました!


第20話 終わり

第21話 に続く!


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