「それと、空手の練習場の事だけどどうにかならない? 終わりの方になると大学生
の視線が目ざわりなのよね 他の場所を用意して貰えないかしら」
アスカは今度は標的を俺にしたようで、不満を並べ立てた。
「じゃ、ミサトさんに本部施設を使わせて貰うように相談して置くよ 」
恐らく機嫌が悪いだろうミサトさんに合わねばならない事で俺は少し憂鬱だった。
【変革を求める者】
第11話 「瞬間、心、重ねて 中」
「今日 ネルフに行く用事はあるかな?」 午後の授業とホームルームが終わり、
皆が荷物片手に立ち上がった頃、俺は斜め後ろのシンジの席の方を向いて言った。
「綾波は知らないけど、僕とアスカはミサトさんに呼ばれてるんだけど」
シンジは気が重そうに鞄を手にして言った。
「そうか じゃ空手の練習場所の陳情の件もあるし、一緒に行くか」
俺はアスカにも聞こえるように少し大きい声で言った。
・
残り発言力400 電子妖精を使いますか? Y/N
・
「はぁ また今日も説教されるのかしら」
アスカは俺の同行を同意したのか鞄を手に近づいて来た。
あの自信家のアスカがこうまで凹んでいるとは余程昨日の失敗がこたえたのだろう。
「じゃ 行こうか」
俺はシンジとアスカと共に教室を出た。
シンジとアスカも気が重いようだが、それは俺も同じ事であった。
かなりの確率で機嫌が悪いと思われるミサトさんに陳情するのだから無理も無いが……
その気になれば車で送って貰う事も出来たが、少しでも着くのを遅らせたいと言う
オーラがシンジとアスカから感じられたので、俺達は電車で向かう事にした。
十数分後……
「ミサトさん 来ましたけど います?」 シンジはミサトさんの執務室の扉を叩いた。
「あ〜 空いてるから入っていいわよ」
墓場の亡者からの声のような響きでミサトさんが応えた。
「失礼します」 俺達は悩んだ末 足を揃えて一度に入った。
「うわっ 自分の部屋だけでなく仕事場までこんなに一杯にしちゃ駄目じゃ無いですか」
ミサトの机の上に山のように詰まれている資料を見て一瞬絶句した後叫んだ。
「あちゃぁ……これ、もしかして昨日の件で?」
アスカはさすがにネルフ歴が長いせいか、各種の被害報告書を一瞥して言った。
「あら、吉田君も来てるの? 何かようぉぉお?」 ミサトさんは俺の案を受けない
せいで失敗した事を多少気に病んでるのか、少しじと目で俺を見つめた。
「何吉田に八つ当たりしてるのよ ミサト 空手の練習場所の事で来て貰ったのよ」
アスカがすかさずフォローをしてくれたが、前回(?)にはそんな行動するような
アスカでは無かったので俺は少し首を捻った。
「空手の練習場所 知り合いの道場でやってるんですけど、空手の大会が近くて、
大学生で一杯なんですよ それでネルフの施設の中で練習出来ないかと……
それにあの日陰の無い暑い所で、俺達の警備してくれてる人達も辛そうだし、
施設内なら警備の都合上もいいんじゃ無いかと思いまして」
「そうなの……ま、空手をやるようになってシンちゃんも逞しくなって来たようだし
ちょっと待ってね」 ミサトさんはそう言って受話器を取り上げた。
「あ、施設課長さん? 葛城です ちょっと聞きたいんですけど、施設内に
空手の練習出来るような所ありましたっけ? あ、柔道用ですか?
畳は敷いてあるんなら同じですよね 分かりました D−56ですね はい」
「今、手がちょっと離せないんで、使えそうか見て来てくれる?
私も後で行くから」リツコさんが入って来たので、ミサトさんは俺達を追い出した。
「D区画か ちょっと奥の方ね」
案内板をアスカが見て言った。
「やっぱり機嫌悪かったね 吉田君」
シンジは俺の事を思ってか少しすまなそうにしていた。
俺はシンジの肩をぽんぽんと叩いて、心配するなと伝えて歩きはじめた。
「へぇ 結構広いじゃ無い ここを私たちで独占出来るのね?」
さほど迷う事も無く、俺達は道場に辿りついた。
「柔道用と空手用とどう違うの? 吉田君」
「うん 学校の道場なんかでは柔道も剣道も同じだけど、ここは畳の下にスプリングが
ついてるんだよ」 俺は軽快に飛び跳ねて見せた。
「ホントだ……」 シンジも俺の真似をしてジャンプした。
「バッカみたい…… そうそう 空手の飛び蹴りってどうやるの?一度お手本見せてよ」
俺が飛び跳ねているのを見てアスカが提案した。
「流派によっていろいろあるんだけど まぁベーシックな飛び蹴りならマスターしてるよ」 俺はわずかな助走を付けてから飛び上がり、足で虚空を薙ぎ払った。
「すごいなぁ……僕が出来るようになるまでどれぐらいかかるかな……」
「吉田は長くやってるから、あれだけ見事なのよ あんたはまずジャンプ力を上げる
事と、硬すぎる身体を何とかしないと、後ろ回し蹴りも出来ないじゃない」
マーシャルアーツをやっていただけあり、アスカは正確にシンジの弱点を見抜いていた。
「俺ももう少しジャンプ力があれば、空中大回転飛び蹴りってのが出来るんだけどね」
「空中大回転飛び蹴り? 何か必殺技って感じね」
アスカは眼を輝かせて言った。
「そうだね 人間の正中線 頭 胸 腹 腰 どこに当っても大ダメージだね
だから、試合では使う人あまりいないけど、余興かな……」
「それ、トランポリンがあれば出来るんじゃ無い?」
余った用具の置き場となっている隅にトランポリンがあるのを目ざとく見つけて
いたアスカが指を差して言った。
「実際に蹴らないんなら着地が難しいんでマットか何か……」
言葉の途中で、アスカは隅にあったらしい小さめのマットを引きずり出して来た。
シンジも空中大回転回し蹴りが見たいのか、トランポリンを持って来ていた。
「制服でか…… まぁいいか」 俺はズボンのポケットから財布や鍵などを取り出して
足元に並べた。
俺がやる気になったのを見て、
シンジとアスカは仲良く並んで俺が実演するのを待ちうけていた。
「じゃ、一度しかやらないから 良く見ててよ けど、真似はしちゃ駄目だぞ」
俺はトランポリンで垂直に飛び跳ねながら言った。
「うんうん 分かってるから、やってみせてよ」
「気を付けてね 吉田君」
俺は二人を見て少し苦笑した。
「よし、やるぞ」 俺はこれまでよりも、より高く飛び、もっとも高く飛び上がった
瞬間、身体を丸めて一回転し、斜め下に片足を突き出して空中大回転飛び蹴りを放った。
まさか空中で身体を回転させる程の大技だとは思わなかったのか、シンジとアスカ
は一瞬呆然としていた。
無事マットに着地した瞬間、道場の入り口から拍手の音が鳴り響いた。
「ミサト……さん?」
「それよっ その技があれば、あの使徒を倒せるわっ」
いきなり入って来たミサトさんは訳の分からない事をいいながら、俺に近づいて来た。
「もしかして、僕たちにあれをやれって言ってるの? ミサトさん」
「一ヶ月ぐらい練習すれば、私ならやる自信あるけどぉ〜」
「どういう事です?」
「じゃ説明してあげるわね」
そう言ってミサトさんは説明を始めた。
加持氏のアイデアで音楽に合わせて初号機と弐号機が飛び跳ねて分裂した
使徒の攻撃を交わし、そして二体同時の荷重攻撃をかけると言う案を
貰った事 だが、接近戦闘は危険なので中レンジでの攻撃になるが、
最後のトドメの一撃に悩んでいた所に俺の技を見たので全てが解決した
と言う事であった。
「使徒の再侵攻っていつです?」 俺は少し嫌な予感がして問いかけた。
「一週間後の11日よ」 ミサトさんは笑みを浮かべて言った。
「そりゃ無理ですよ いくらなんでも」
「あ、それとシンジ君とアスカにはユニゾンの特訓もして貰うから、
あと、吉田君とレイも 明日から泊まり込んで貰えるかしら?
学校の方には言っておくわぁ〜」
もうミサトさんの頭の中では全てが決定しているようであった。
「ユニゾンって何?」
・
胸ドキュンはぁとふる メソを出してる会社……<それはユニゾンシフト
「確か、英語ではUNISON UNI SONG 一つの音と言う意味の音楽用語の事ね
だから二人で同じ動きをして攻撃しろって言うんじゃ無いの? あの使徒みたいに」
「アスカと同じ動きであの技? ……無理だぁ」
「ぐずぐずしてる暇無いわよ 必用最低限の物を用意してねっ」
ミサトさんは今度失敗すれば後が無い故の自棄糞なのか、ハイテンションであった。
御名前
Home Page
E-MAIL
ご感想
今のご気分は?(選んで下さい)
強引な展開だなヲイ
レイの影が薄いぞゴルァ
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
内容確認画面を出さないで送信する
どうもありがとうございました!
第11話 終わり
第12話
に続く!
[第12話]へ
[もどる]