「ふむ……二人のメンタルな所はいつも一緒にいるあなたが良く把握してるって事ね……
いいわ あまり構ってはあげられないけど、見学はOKよ 学校にも言って置くから
シンジ君達と一緒にいらっしゃい。」
「ありがとうございます では」
俺は電話を切り、溜め息を一つついた。
全てを明かせば楽になれるのかも知れないが、これも俺の選んだ道だ……
そして翌々日……
俺は二人と共に昼で学校を辞し、NERVに向かっていた。
二人の様子が少しよそよそしいのが気にはなったが聞いても答えを得る事は難しいだろう。
【変革を求める者】
第5話 「決戦・中」
昼食をジオフロント外 通称”上”で食べた人達や、これからNERVに向かう人たちで
メインゲートは賑わっていた。
「紅いカード……俺が持つ事になるとはな……」
俺は財布から先日貰ったカードを取り出して、いつでも通せるようにして二人を待っていた。
シンジとレイも一緒に来る筈だったのだが電車に綾波レイが駅の階段でつまづいて転んだ為、
シンジがそれを支えようとしている間に俺の乗った電車は出発してしまったのだ。
5分置きに出るのだから、少し時間を潰せばいいだけなので、
俺はメインゲートの脇の壁に背中を預けて眼を瞑った。
「あ、吉田君 お待たせ」
ほんの五分だと言うのに俺は熟睡し シンジに呼ばれるまで二人の接近に気づかなかった
「じゃ行こうか」 俺は手にしていたネルフのカードを確認して、ゲートに向かった。
俺達はゲートを通過し、もっとも長いエスカレーターで地下に向かっていた。
「嬉しいんだけど、どうして吉田君も来てくれる事になったの?」
シンジはちらちらと綾波レイの様子を伺っていたがレイは表情も変えないので、
シンジは矛先をこちらに向けて来た。
「零号機の起動実験……これまで成功した事が無いって聞いてね
赤木博士と話したい事もあるし」俺は少しごまかした。
「それじゃ私はここで……」
プラグスーツに着替える為か、綾波レイは途中で去っていった
「それじゃ、赤木博士の所まで案内するよ」
俺は無言で頷いて先導するシンジの後をついて歩いていった。
今日の主役である所の綾波レイの精神状態が気にはなったが、
もはや何の干渉をする事も出来ないだろう。
シンジと共に空手の訓練をするようになり、少しは人と触れあう事にも慣れて来た
と思うが彼女の心は深い深遠の底を覗かないと伺い知る事は出来なかった。
「いらっしゃい 吉田君 あいにく私は手が離せないので、葛城一尉に案内させるわ
話は実験が終わってからにしましょう」
赤木博士は手にチェックリストの束を抱えたまま俺とシンジを迎えた。
「それじゃ、下に行きましょうか」 俺はシンジと共に葛城一尉に案内されて先程の
指揮室より一層下の見学エリアに案内された
「あいにくコーヒーしか無いけど、二人ともそれでいい?」
葛城一尉は部屋の隅にあったエスプレッソメーカーにコップをセットして言った。
「あ、砂糖ありますよね?」 シンジはNERVのエスプレッソの苦さを知っているのか
すかさず注文を入れていた。
「それでいいですよ 無理いって見学させて貰うだけでも心苦しいぐらいです 何しろ
命を張って実験しているのを高みの見物と言うのは精神衛生上良くないですよ」
「あら? あなたが希望して実験を見たいって言ったって聞いたんだけど?」
手にカップを二つ持ちシンジと俺に差し出しながら葛城一尉は問いかけた。
「葛城一尉……それはですね 無力な俺達一般人の為に命を張って戦っているシンジ君や
綾波さんの姿をこの目で見たいからですよ この眼に焼きつける事によってしか、
その苦しみや辛さを理解する事は出来ないですから…… シンジ君とは同じプラグに入った
から多少分かるけど、一見して無表情な綾波さんがどんな思いで乗っているのかが……」
「そういう事なの…… あ、それと私の事は ミサトって呼んでくれていいからね」
葛城一尉 いや、ミサトさんはシンジに砂糖のスティックを手渡し、
自らはブラックのコーヒーの匂いを嗅ぎながら答えた。
「あ、綾波だ」 プラグスーツに着替えたレイがエントリープラグに搭乗しようとしている
所をシンジが目ざとく見つけて言った。
「いよいよなのね……」 ミサトさんも少しそわそわしながらカップを置いて言った。
「これより零号機の再起動実験を行う」 前の起動実験での失敗の際にその身を危うくした
と言うのに 碇ゲンドウは恐怖と言う感情を置き忘れて来たかのような表情で宣言した。
俺達が見学しているフロアの壁に埋めこまれたモニターとスピーカーから、
上の様子を知る事が出来た。
「第一次接続開始」 「主電源 コンタクト」 「稼働電圧臨界点を突破」 「了解」
碇ゲンドウ氏と赤木博士 それに伊吹マヤ嬢だと思われる声が交互に響きはじめた。
「フォーマーット フェイズ2へ移行」 「パイロット 零号機と接続開始」
「回線開きます パルス及びハーモニクス正常」
「絶対境界線突破まで あと2.5 1.7 1.2 1.0 0.8 0.6 0.5
0.4 0.3 0.2 0.1 突破 ボーダーラインクリアー」
「零号機 起動しました」 「了解 引き続き連動試験に入ります」
「やった……やったよ綾波が……」 シンジは少し興奮した様子で連動試験に入った
綾波レイと零号機を見つめていた。
「もう……上陸するんじゃ無いのかな……」 俺の呟きは誰にも聞かれる事は無かった
「副司令 戦自から連絡が入っています」
実験が成功したのを確認したかのように青葉シゲルのコンソールに電話着信の報せが届いた。
シゲルは少し考えてから直属の上司である冬月に声をかけた。
「ああ わかった」 冬月は近くにある端末に手を伸ばした
「碇 未確認飛行物体が接近中だ」
30秒程して冬月は電話を切りながら碇ゲンドウに宣言した。
「テスト中断 総員第一種警戒体勢」 ゲンドウは即座に判断し、命令を放った
使徒の襲来によりセキュリティレベルが上がったのか、埋めこみ式のモニターは沈黙した。
「零号機を使うつもりなのかしら……」 葛城一尉は消えたモニターを見つめて呟いた。
「とにかく上に上がりましょう!」 葛城一尉の命令により俺とシンジは席を立った。
「出撃か待機かどちらにせよ、シンジ君はプラグスーツに着替えて来て頂戴!」
葛城一尉が俺に対する判断を保留にしている間に、俺は葛城一尉と共に指揮室に飛び込んだ。
「葛城一尉 初号機で出撃よ! シンジ君は?」
「プラグスーツに着替えさせてるわ」
その時、スクリーンに第5の使徒 ラミエルの姿が映し出された。
「初号機の発進位置の選定をお願い!」
葛城一尉は俺の存在など既に忘れ、同じ作戦部所属の日向マコトに声をかけた。
そして指揮室の隅の方で検討を初めた。
「目標の位置に最も近いA−5ポイントでどうでしょう?」
「そうね 敵がどのような攻撃手段を使うか分からない今、先制攻撃が必用だわ」
「先んずれば人を制すですか…… ですが同じ孫子の言葉でも、
今は 彼を知り、己を知らば百戦危うからず の方が合ってるかと思いますが」
俺はシンジを死なせる訳にはいかないので、検討していた二人にだけ聞こえるように言った。
「どういう事?」 自分の作戦にケチを付けられたミサトが表情を変えて振り向いた。
「その位置に初号機を出現させて、敵の射線から遮蔽に足りえるものはありますか?」
「……兵装ビルがあるわよ それが何? 今忙しいの」
その事について考えも及ばなかったのかミサトは少し苛つきながら答えた。
「あの敵には戦うのに必用な 一般的な機関 腕や足が見当たりません。 単体で攻撃
を行う……それもエヴァンゲリオンの打倒を果たせる程の能力を単身で秘めてるとすれば、
恐らくは熱量兵器かレーザーのような兵器を内蔵しているかと思われます。
だとすれば山を遮蔽としてでも使わない限り、出撃した瞬間を狙い撃ちされるのは見え
ています。 まずはダミーを射出するとか出来ないんですか?」
俺は反論を許さぬ勢いでたたみかけた。
「うっ……そういえば……そうね」
自分の作戦の無茶さにようやく気づいたミサトは項垂れた。
「そういえばそうね じゃありませんっ シンジの命を預かってる自覚は無いんですか?」
「あの……射出は出来ないけど、前期の予算で購入した1/1バルーンダミーなら芦の湖
北岸から無人ボートで出せますけど」 俺と葛城一尉のやりとりを見ていた日向マコトが
ようやく肝心な事を思い出したのか、間に割って入って言った。
「それ、準備にどれぐらいかかるの?」
「リモートコントロールでいつでも射出出来ますが、圧縮ガスを満たすのに2分です」
「それ、準備をさせておいて! 私は碇司令にかけあって来る。
もし、敵が吉田君の言うような攻撃手段を持っているなら、安全な出撃位置の選定もお願い」
その後は慌ただしくなったので、俺は先程の部屋に戻っていった。
「これでいいんだよな……」 空になったカップにコーヒーを満たしながら俺は呟いた。
御名前
Home Page
E-MAIL
ご感想
今のご気分は?(選んで下さい)
よくやったな・・シンジ
無能なミサトまで準拠せんでよろしい
かなり無理があるぞ ヲイ
問題無い・・・
おまえには失望した
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
内容確認画面を出さないで送信する
どうもありがとうございました!
第5話 終わり
第6話
に続く!
[第6話]へ
[もどる]